町指定有形民俗文化財

        
鬼岳神社の石猿群 芦辺町箱崎本村触


  

 鬼岳神社は、古くは磐座(いわくら)を御神体とし、標高153メー
トルの山全体が禁足地の御神体で、神罰が厳しく、枯れ枝一本を取って
も怒られたということです。今でも昼なお暗い社叢があり、その名残を
留めています。麓の御潮斉(しおい)掛石が遙拝所で、人々はここから
オシオイをあげて拝みました。
 海上から古代の航海者が「山あて」として信仰してきた山でもあり、
現在でも航海者、漁業者の信心が特に深いようです。
 交通の神である猿田彦命神が祭神で、古代の自然信仰の姿を伝える祭
祀遺構です。
 また、この山は初め八幡大神の鎮座の場所として決める時に、五百羽
程の鳩が大きな力となったという伝説に因んで五百鳩山(いおつりやま)
とも呼ばれてきました。なお、「魚釣山 男嶽神社」の古い石額が残っ
ています。
 明治になって頂上に社殿建立があり、参詣者が一層多くなりました。
 戦時中は、出征兵士の家族の参拝も見られました。
 祭神猿田彦命に因んで願成就に石猿を奉納する風習となり、また、牛
の神が山の神であることからか、農家が牛の繁殖を願って石牛の奉納も
加わって、石猿と石牛が境内を埋めるようになりました。


     
    芦辺町の文化財