福岡県高等学校地理研究会の福岡地区の会員10名が、13年11
壱岐島の巡検
都市と離島・農山村を対比的にあえて強調すると、次のようにも言
えるでしょう。
都市部は情報が豊富で、いろいろな刺激もあり、多くの人を引きつけ
ますが、その人に必要な質の高い情報は少なく、いわば、どうでもいい
ような商業主義的情報に偏っています。住民の人間関係は匿名的で、し
かも表面的な面が強いため、情報の入手手段はマスコミに頼ることが多
い。マスコミによる情報は離島でもほぼ同程度のものが入手できるわけ
で、その意味からすると、都市住民の情報は、個人的なネットワークの
中からしか入手できない生活に密着した質の高いものが少ないだけ、情
報に深みがなく単調です。さらに、生活経験では擬似体験が多いが実際
に手にし、触る、味わう、臭うなど、本物の体験が少ない。本物が分か
らないので、テレビや本などのランキングやお店紹介を鵜呑みにしてし
まう権威に弱い都会人が浮き彫りになります。離島や農山村に居住する
人々が、「こんなこと」と思うようなことが初めての経験であったり、
新鮮な出来事として彼らには映るのでしょう。高度経済成長期以降の豊
かな社会に生まれ育った世代が今親となって、次の世代に彼らの価値観
を伝承させているわけですから、別の星の日本人の訳です。
グリーンツーリズムとかエコーツーリズムなど最近の流行ですが、底
流には都会でもはや経験することのできなくなった日本の原風景への憧
れがあるのではないでしょうか。
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