『県立埋蔵文化財センター』
        壱岐原の辻遺跡周辺に建設へ



    
長崎県知事、県議会で発表(平成14年12月)

 壱岐島民待望の『
県立埋蔵文化財センター』の建設が現実味を帯びて
きました。

 平成14年12月6日、長崎県議会で壱岐郡選出の平田賢次郎議員が、
一般質問で、「わが国を代表する国指定特別史跡『
原の辻遺跡』が壱岐
のシンボルとして保存活用されるためにも、しっかりと調査をやり、学術
的価値を高めていく必要がある。古墳をはじめ島内に数多い歴史遺産を活
用し、地域の活性化を図ることも極めて重要である。『
原の辻遺跡』を核
とする調査・研究・活用の拠点施設になる『
埋蔵文化財センター』を壱
岐に設置することが望ましいと思うが、知事の考えは?」と尋ねられまし
た。

 これに対し、金子原二郎知事は、「壱岐には国指定特別史跡『
原の辻
遺跡
』があり、中国・朝鮮半島との交流や弥生時代を物語る多くの遺構・
遺物が出土している。また、学術的にもアジア的視点に立った弥生文化研
究の拠点となることも期待され、遺跡の全容解明が望まれている。島内に
は国指定史跡『
勝本城跡』や、『双六古墳』など県内古墳の半数以上を
占める264基の古墳があるなど、多くの歴史遺産がある。
 県としても地元と一体となり、歴史遺産の総合的活用を図ることは、壱
岐の活性化に資することでもあり、極めて重要なことと認識しており、こ
のような視点から『
埋蔵文化財センター』を設置することについては、
優れた条件を有する壱岐を最適の場所として検討、近く結論を出したいと
考えている」と答えられています。

 郷土紙の報ずるところでは、建設地としては、原の辻遺跡周辺を検討中
といい、平成15年4月にも、学識経験者や地方住民等で検討委員会を設
置の方針とされており、早ければ2005年には着工の見通しということ
です。
 本県には、県立の『
埋蔵文化財センター』はなく、実現すれば県内初の
建設となるもので、開館は2007年度の予定だそうです。



 対馬には『
県立対馬歴史民俗資料館』が建設されていて、ここを訪ね
た時に、壱岐にも是非このような県立の施設が欲しいものだと思ったもの
でした。
 
 弥生時代の国指定特別史跡は、『
原の辻遺跡』のほかに静岡県の『
呂遺跡
』と、佐賀県の『吉野ヶ里遺跡』だけです。
 県立の『
埋蔵文化財センター』が未だ設置されていない県は、本県を
含めて6県で、文化庁は早い整備を勧めていました。
 原の辻より先に発掘調査が進んでいる吉野ヶ里をもつ佐賀県にも、県立
の文化財センターはないそうです。
 長崎県が、この場所を県庁の所在地である長崎市でなく、歴史の島壱岐
に決定されたことは、誠に喜ばしい限りです。

 知事の言葉の通り、一日も早く実現し、『
原の辻遺跡』をはじめ、島内
の各遺跡から出土した貴重な遺物が一箇所に保存され、研究・調査が進め
られると共に、広く一般にも公開され、壱岐の島の活性化に繋がっていく
ことを願っています。




       
 整備基本構想策定会議発足

●委員決定
  委員長・西谷正(九州大学名誉教授) ▽小田富士雄(福岡大学教授)
  ▽
黒川紀章(建築家)  ▽片岡力(長崎国際大教授)
  ▽
野栄明(JTB九州仕入販売部長) ▽早田和正(九州じゃらん編集長)
  ▽
白川博一(原の辻史跡保存等協議会会長・芦辺町長) 
  ▽
諸谷英敏(壱岐支庁長)

●第一回策定会議 (平成15年4月26日)
  ・毎月一回の予定で、8月まで開く。
  ・県は、同会の提言を受け、11月にも基本構想を策定。
  ・2005年(平成17年)には着工の予定。
  ・開館は2007年度の見込み。

  ・
白浜重晴県出納長挨拶
   「本県埋蔵文化財の研究開発の拠点として原の辻遺跡などがある
    壱岐を選んだ。交流人口拡大による地域振興にも役立てたい。」
  ・
委員意見
   
「設置場所は遺跡の眺望などを傷つけない場所に」
   「子どもから大人までみんなが楽しめる施設に」
  ・
西谷委員長談話(会議後)
   「離島に、このような施設が出来るのは全国でも初めてで画期的。
    東南アジアも視点にいれた施設にしたい。」

●第三回策定会議(平成15年7月29日・長崎市)
  ・遺跡を活用し、歴史ロマンを呼び起こすようなイメージづ
   くり
が重要
  ・県内外にPRする壱岐島のテーマを、これまでの「まるごと博物
   館」から、特性をアピールするため「
しまごと博物館」にする。
  ・建設場所は、原の辻遺跡内ではなく、その周辺部が有力視されて
   いる。


●県へ基本構想提言、壱岐「しまごと博物館
 

 県の原の辻遺跡・埋蔵文化財センター等整備基本構想選定会議(西谷正委員長)
は、16日、基本構想をまとめ、提言書を県に提出した。
 同会議は五回にわたって開かれ、「原の辻遺跡」「県立埋蔵文化財センター等」
「島内の歴史的遺産等」の保存整備方針を、ハード・ソフト両面の連携を考慮し
てとりまとめ、提言去れています。

 壱岐全体のグランドデザインのテーマは、「
時空ときを翔かけるシルクロード・
壱岐
」と提案。テーマに添ったしまづくりを実現するために「しまごと大学」
「しまごと元気館」「しまごと博物館」の、三つのしとまづくりの方向性を掲げ
ている。
 「
しまごと博物館」は、島全体を一つの博物館ととらえ、埋蔵文化センター
や展示施設等を中心に、島全体の財産を守り、伝え、体感できる島づくり。
 「
しまごと大学」は、学びを究めることができるしまづくり。
 「
しまごと元気館」は、癒しやくつろぎ≠得ることでき、島民自らが
誇り≠持てるしまづくりを目指すというもの。

 西谷委員長から提言書を受け取った副知事は、「埋蔵文化センターを来年三月
に誕生する壱岐市のシンボルとし、地域振興の核にしていきたい」と語られまし
た。今後は、新年度に基本計画を策定。2008年度完成に向けて諸作業が進め
られる見通しです。 




       
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