松永記念館3

 
長崎県立壱岐商業高等学校郷土社会部編集の島人 第6号(昭和
46年12月31日発行)
に、壱岐松永記念館発足当時の館長松本国光氏が特
別寄稿をされていますので、現管理者の
後藤正敏氏の許諾を得て転載
します。                 
  (02.5.2)

        壱岐松永記念館の概要
             館長    松 本 国 光

 記念館は昭和四十六年の夏に新築落成し、その落成の最後のごあ
いさつとして建設期成会々長横山孝雄氏は次のようにのべられまし
た。

『松永安左エ門翁は、明治、大正、昭和の三代にわたる日本の偉大
なる先覚者であり、電力界の鬼として終生その指導開発に尽瘁され
たばかりでなく、我が国の産業発展に大きな功績を残された方であ
ります。
 この偉大なる松永翁の生家および由緒深き文書、また翁が生前愛
好された所持品等を永久に保存し、その展示によって将来郷土壱岐
から第二の松永翁が輩出される教育の源泉に資するため当館の建設
を思いたち、石田町議会にはかり更に壱岐四町と協議し、壱岐松永
記念館建設期成会を発足いたしました。特に在京松泉会長結城安次
先生、同雪州会会長真鍋儀十先生をはじめ有志諸賢の御尽力によっ
て、東京電力株式会社を始め、全国電力関係の会社、法人、個人の
方々のご協力を得て、郡外より五000万円、壱岐四町その他郡内
有志の方々より五00万円の浄財の御寄付を得たのであります。
 設計指導は工学博士野村孝文先生、監督管理は山口昭三先生に委
託し、工事は株式会社間組の施工により茲に当記念館の完成を見た
のであります。』

 内庭の銅像には御夫妻の略伝が記されています。

 
 松永安左エ門翁は一八七五年十二月一日この地に生まれ幼名亀之
助、号は一州、のち耳庵、慶応義塾福沢諭吉先生に学ぶ。翁の青年
期は波瀾万丈であったが、近代日本の黎明を劃する電気事業に敢然
として邁進した勇姿は、戦国の英雄さながらのものであった。第二
次大戦後翁は日本の復興が人心の昂揚とエネルギーの拡大にあるこ
とを喝破しその実現に超人的な精力をつくした。その先見は後進の
道標となり、翁の知遇をうけた各界の俊傑も縦横の活躍をなし国力
を急速に伸展した。翁は九十七才のいまも日本の為に多くの献策を
おこない祖国への愛情は尽きることを知らない。まさに世紀の師表
である翁の鴻業は永遠につたうべきものである。

  昭和四十六年五月     今 里 広 記   西望書  

 松永一子夫人は一八八四年九月二十九日大分県中津市の竹岡家に
生まれ二十才にして嫁し、夫君安左エ門翁の活動に形影相伴なうこ
と五十五年、一九五八年十月八日東京に永眠さる。一子夫人のみま
かるや夫君みづから筆を執って埼玉県平林寺の墓碑に貞淑慈愛の文
字をきざまれた。麗しくまた睦まじき限りである。一子夫人の内助
の誠は夫君の鴻業とともにながく讃えらるべきものでこの地に夫人
の尊像を夫君とならび建てる所以である。
 昭和四十六年五月      今 里 広 記   西望書  

 
 
   概     要
一、 建 物  
 1 旧建物
     生家一棟
     土蔵一棟
 2 新 築

     玄関ホール
     記念展示室
     管理人室
     洗面所
     倉庫
     休憩室
     案内室
二、 内庭広場
     松永翁胸像
     同夫人胸像
     浮桟橋
     石畳(福岡市の電車道舗装に用いた石)
     植込み
三、
 周 囲
     屋根式外塀にて取囲む
     正門隣接の駐車場設置
四、 展示関係

 1 記念展示室

     

    年表式一代記懸掲
     翁の一部写真
     家族関係写真
     慶応義塾の勉学関係
      同  の名誉博士称号関係
     福岡にて衆議院議員当選の関係

     

     勲章(勲一等瑞宝章)関係
     竹田黙雷禅師との交流関係の墨蹟
     翁の御長逝に伴なう賜杯(銀杯)祭祀料関係
     「ロンドン」の「トインビー」氏よりの弔文
     知名の士との交流関係写真墨蹟
     吉田茂、犬養毅、後藤新平その他
     身の回り品類
       紋付衣類其の他和洋服の一部
       衣服類種々日常身辺用具の一部
       外遊時の用具
     著書のいろいろ
 2 旧土蔵展示室
    一階 壱岐埋蔵文化財等分布図
       松永家「系図」
       翁写真
    二階 縄文式土器類
       弥生式土器類
       考古資料
       近世壱岐の年代表
 3 休憩室
    日本万国博電力館の模型
     同   展示品の一部
 4
 案内室
    参考図書資料
 5
 生家

    

    墨蹟
    往事使用の家具類の一部
    金庫、古机、椅子、母堂御使用の鏡
    日常着用の古衣類、往事御使用の食器類
    その他馬具等

                          以上


      
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