香芝西中学校の慰霊活動


 奈良県香芝市立香芝西中学校の
修学旅行団は、平成6年(1994年)5月29日
に訪れ、遭難者の御霊の冥福を祈り、記念植樹をされました。
 同校は、その後も、壱岐を訪れ、平和学習・人権学習に活かしておられます


 劇の台本・劇のビデオ・感想文などを担任の先生からいただきましたので、許諾を得
て掲載します。なお、平成18年5月に来島予定の学年担任が下見・打ち合わせに来ら
れ、詩人・浜裕子先生の講演聴取や壱岐の中学生との交流、遭難事故当時には芦辺湾の
中央部だったダイエー前沿道に「壱岐やぶ椿」の記念植樹を活動計画の中に入れられま
したので支援します。                        
(05.8.10)

              

           
太古の昔より、日本に多大なる恩恵を下さった
   朝鮮半島の人々に謝意をこめて!
    二度と戦争はしませんから!
    安らかにお眠り下さい。

 
(慰霊碑の側に掲げられていた香芝西中生の慰霊文より)

 
ある壱岐出身者に、上記文面のことを話題にしましたら、「帰化した人達などにより、
 大陸文化が移入されて日本文化が発展したことを、古代文化の中心地だった、この地域
 の人達はよく理解しているので、子供達もこのような気持を持っているのだろう。」と
 コメントしました。
  なお、「自分も、このような感じを持つ場面がよくある」と話してくれました。




          
   お  礼  状

  
 奈良県香芝市立香芝西中学校三年A組の皆様
 去る五月二九日に長崎県壱岐郡芦辺町清石ヶ浜の韓国人遭難者慰霊碑塔を訪れ、
諸々の霊を慰めたうえ、御立派な植樹までして頂き、本当に有難うございました。
 八月二四日、在日本大韓民国民団対馬島地方本部議長が慰霊碑建立者芦辺町の
坂本金敏氏から皆様の御参拝の事を聞き、其の日早速慰霊塔に行って見て来ました。
 大勢の皆様のお名前が書いてありました。過去を知らない若い中学生の皆様が他
国人の霊を慰めた事に嬉しさと悲しさが一緒に目に浮かび涙が顔面を洗いました。
 この善意が日韓親善の掛橋に成るよう念願いたします。
 日本国内全部の若人が皆様と同じ気持であれば、日韓親善は勿論、世界は一つも
夢ではないでしょう。
 これからも社会の為、御活躍を願いつつ、此の度の善意に対し、団員一同、深々
と感謝を込めてお礼を申し上げます。
 最後でありますが、皆様の御健勝と学業が益々上達するよう祈願致します。

            一九九四年九月八日
              長崎県上県郡上対馬町比田勝八四三−八
               在日本大韓民国民団対馬島地方本部
                  団長 
  金  龍 煥


     
鎮魂の海峡】文化祭で上演
 
 
香芝西中学校修学旅行団は、平成15年にも壱岐を訪れて慰霊碑を参拝し、
3年C組は慰霊碑を主題にした【
鎮魂の海峡】の劇の台本を作成し、10月
17日に開催された文化祭で上演されました。




      
鎮魂の海峡】の「幕末のナレーション」

「この劇では、壱岐で死んだ朝鮮人は炭坑での労働になっていますが、唯一
 確認されている人は、広島の軍需工場で働いていた人です。
 その広島の工場で働いていた、深川宗俊さんが終戦後、徴用された人たちが、
 祖国である朝鮮に帰っていないことを知り、どうなったかを調べ、
 「鎮魂の海峡」という本にまとめられました。
 それを元に、香芝西中学校なりに脚色したのがこの劇です。

 そして、我が香芝西中学校は9年前から、修学旅行で壱岐の島に行くたびに、
 この慰霊碑にお参りし、お祈りをしてきました。

 その頃、壱岐高校の文化祭で「鎮魂の海峡」を演じられた、山辺淳一氏に講
 演していただき、慰霊碑の歴史を聞かせていただきました。

 また、数回にわたる修学旅行で、その度に西中学校の先輩方が、朝鮮との友
 好と平和への気持を新たにし、お祈りをしてきました。

 今年も、また、3年生全員と先生のお祈りを書いたプレートを奉納してきま
 した。

 みなさんも壱岐の島に行く機会があったら、足を止めて、お祈りをしてみま
 せんか?
 


     
   生徒の作文

 「
鎮魂の海峡」から、私は改めて人権について考えました。
 
 楽しかった壱岐の島への修学旅行。そして、朝鮮人慰霊碑にお参りをし、お祈りをし
てきました。あんなきれいな海や豊な自然と、島の人達の温かさに包まれた壱岐の島で
、こんな悲しい出来事があったなんて思いもしませんでした。
 修学旅行から帰った後、更にくわしく学習し、文化祭で公演した時は、舞台裏で涙を
呑んでいました。その後、人権フェスティバルに出てほしいと聞かされた時は、本心、
とても嬉しかったです。
 この劇と、それに今までの学習から、平和と戦争と差別、強制労働についてよく考え
てみました。私達は、「戦争はいけない」「平和が一番」「差別をなくそう」など、口
では簡単に言っていますが、実際、それに繋がることをしてきたのでしょうか。その場
だけの考えで、何もしてこなかったのではないかと思うのです。私の力では、大した事
なんてできないかも知れないし、時には何をすればいいのか分からないこともあります。
でも、こんな風に、「鎮魂の海峡」という劇で、たくさんの人達に語りかけることがで
きます。
 今、私達ができることと言えば、「少しでも、多くの人に伝える」ということなので
はないでしょうか。そして、この劇を見た人達が、また、多くの人に語りかけていけば、
大きな力になるのではないでしょうか。
 もし、また壱岐の島へ行く機会があれば、慰霊碑の下で眠る朝鮮の人達と、この島で
起こったこと、そして、私達はその加害者であるということを忘れずに、お祈りしたい
と思います。

※香芝市主催「人権を考える会」(人権フェスティバル)で公演。
※奈良テレビ局が取材し、放映。


        
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