白川和則
氏(東京在住)より、「松永翁の別荘を提供、開放」の記事が
載っている、2002年(14年)1月10日(木曜日)発行の朝日新聞(
夕刊)を送付してもらいましたので、抜粋して紹介します。(02/1/15)
武蔵野の古刹で茶の心
茶人松永耳庵の別荘を提供、開放へ 新座の平林寺
武蔵野の面影を残し、国の天然記念物に指定されている「平林寺境内
林」(埼玉県新座市)の一角に建っている別荘が、約1万平方bの敷地
とともに、平林寺から新座市に無償提供されます。
これは、松永翁の別荘で、市は広く市民にも開放する方針ということで
す。
別荘は木造平屋建て146平方b。鉈なた削りの柱を使うなどした茶室
が3室あります。おなじ実業家で横浜市の三渓園でも知られている原三渓
の世話で飛騨高山から明治時代に移築したといわれており、江戸時代の古
材が多く使われている合掌づくりの建物です。
平林寺は古刹こさつの禅道場です。都県境にあり、都市化が進んでいる新
座市にありながら、天然記念物の境内林は43fの広さがあります。
昭和40年の後半に約9700平方bの敷地ともども別荘を譲り受け、
敷地内に建てられた座禅堂とともに「睡足軒すいそくけん」と名づけられて
使用されてきました。
敷地に沿って市が歩道をつくる計画があり、それを機会に広く市民にも
茶人の心に触れてもらおうと無償で提供することになったということで
す。
野々村玄龍住職は、「これまで寺の文化財や景観が保全できたのも市民
や行政の協力があってこそ。寺も市民にできることはないかと考えていま
した」と話されました。
なお、須田建治市長は「お茶や生け花の場として市民に利用してもらい
たい」と喜んでおられます。
金鳳山きんぽうざん 平 林 寺へいりんじ
住所=埼玉県新座市野火止のびどめ
交通=西武線ひばりケ丘駅からバス平林寺下車
拝観=200円、9〜15時
禅宗の臨済宗妙心寺派みょうしんじはで、妙心寺派の僧侶のための専門道
場を持っていて、全国から集まった修行僧が禅の奥義を体得するため、厳
格な規則のもとで座禅や作務(さむ)などの修行に励んでいます。
寺域は東京ドーム12個分に相当する56ヘクタールの広さがあり、雑
林は天然記念物に指定されており、梅や桜、竹が配され、伽藍の裏手には
松杉の古木が鬱蒼と広がっています。
特に、若木から15年ほどまでのモミジが約2万本植えられていますが、
これは、老師の野々村玄龍住職が、96年から植栽され、手がけられたも
のです。
そのなかに野火止用水を開いたことで名高い徳川家光の老中・川越城主
松平信綱ら松平家の大名墓が悠然と並んでいます。
当初は1375(永和元)年、岩槻いわつき城主太田道真みちざねが、現在
の岩槻市付近に建立しました。
戦国期に大半を焼失しましたが、徳川氏が関東に進出して、妙心寺派の
鉄山宗鈍てつざんそうどんを迎えて中興開山としました。その後、松平信綱と、
その子の輝綱てるつなの二代によって現在地に移され、松平家の菩提寺とし
て、いま見る伽藍ができあがりました。
※平林寺には、松永安左エ門・一子夫妻の墓碑があります。
「松永安左エ門年譜2」⇒
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