原の辻遺跡新情報2(13年・14年)

    人面石製品(岩偶がんぐう)出土
      
弥生人の「叫び」か、表情豊かな像 (01.10.31)

    

 長崎県教委は10月23日、人面石が出土したと発表しました。
 長さ10.2センチ、幅7.4センチ、厚さ4.5センチ、重さ320グラ
ム。目、鼻、口の他、まゆなどもはつきりと彫られており、ほほや周囲
も丸くなるよう加工されています。
 壱岐に普通に存在する凝灰岩でできています。
 両眼は深くくぼませ、口だけは裏側まで貫通しています。彩色や焼い
た後はありません。人の拳大の同岩偶の表情はノルウェーの画家「ムン
ク」の「叫び」にそっくりで、弥生人の豊かな表現力を感じさせます。
 長崎県教委によると、弥生時代後期(3世紀)から古墳時代初頭(4
世紀前半)の製品とのことで、人物をかたどった同時代の製品には木
偶、土偶などがありますが、石製は鹿児島県大根占町の山ノ口遺跡から
出土の軽石製の岩偶があるのみということで、顔面のみの岩偶は極めて
珍しいということです。
 人面石は同遺跡の環濠のうち、不要となって埋め戻された西側中央部
環濠内から土器など他の遺物とともに埋められていたもので、当時の人
々が祖先の霊をまつった精神性を物語るものと見られています。
 なお、同岩偶は、11月1日〜12月9日、同遺跡遺跡展で公開され
ます。(『
新壱岐』新聞より)




  
 「人面石の叫び!!」入賞者決定 !!
      
   長崎県教育委員会・原の辻遺跡保存等協議委員会

1 
趣  旨  原の辻遺跡において「人面石」が発見されたこと
        を受けて公募した「人面石の叫び!!」の入賞者決
        定と作品の活用についての資料提供。

2 
募集期間  平成13年11月20日〜平成14年3月20日

3 
応募総数  4852点

4 入賞者   最優秀賞  1 名
        
優秀賞   2 名
        
優良賞   7 名

5 
入賞作品の @平成14年10月20日開催の原の辻遺跡国特別史
  
取り扱い等  跡指定祈念シンポジウム会場(よみうりホール:東京
         都千代田区有楽町)に掲示。
        Aシンポジウム終了後は原の辻展示館にて掲示すると
         ともに、原の辻ニュースレターの掲載等による活用
         を図る。 


     
「人面石の叫び!!」入賞者リスト
                               
       
              
    原の辻展示館に掲示

<最優秀賞>
      
住所  長崎県
      
氏名  馬渡 志津香  中学生(芦辺町立箱崎中学校1年)

      作品  私はみんなが、豊かに、幸せに暮らせるようにと
          見守ってきた。私はずっと前からこの壱岐の暮し
          を見てきたんだよ! みんな力を合わせて、生活を
          豊かにしようとがんばっていた。だからきみたち
          もがんばって!!

<優秀賞>
      住所  福岡県
      
氏名  今泉  舞   一般

      
作品  おーい現代人よ。私の声がきこえるかぁ。ずぅっと
          この時を待っていたんだ。「大切なもの、忘れちゃ
          あダメだよ。」って伝えたくて。忙しい日々に追わ
          れている君達へ。たまには肩の力をぬいて大声で笑
          うってのはどうだい。


      
住所  岡山県
      
氏名  延原 喜和子   一般

      
作品  「オーッ、まぶしい。」玄界灘の荒波にもまれ幾多
          の戦いをくぐりぬけ、今なおゆるがぬ壱岐の島。島
          の男は筋金入り、壱岐の娘は深なさけ。「おーい、
          おいでよ原の辻。」私は、昔を伝える為に長―い眠
          りから目覚めました。

<優良賞>

      
住所  大分県
      
氏名  中根 靖子    一般

      
作品  言葉もないとは、このことだね。ポカンと口をあけ
          てるしかないんじゃないか。千七百年、千七百年だ
          よ。再び陽の目をみられるとあって期待したよ。わ
          くわくしてたよ。でも、なにも変わっちゃいないね。
          人間の本質その物は。



      
住所  京都府
      
氏名  井関 正治    一般

      
作品  あのー、どなたさんですか? 私を昼寝から起こし
          たお方は。せっかく、良い夢を見ていたのに。タイ
          マーセットは、二十二世紀にしておいたんですけど
          ねェ。三月の展示会が終わったら、元に戻してくだ
          さいねッ。

      住所  広島県
      
氏名  土居 昭子    一般

      
作品  オーイ元気でやってるかい。いっしょうけんめいに
          生きてるかい。少々つまづいたって、くじけるんじ
          ゃないぜ。苦しいときは大きな息を吸って、天にむ
          かって大声で叫べばいいのさ。きっときっといい明
          日があるからさ。

      
住所  神奈川県
      
氏名  八木澤 鉄平   一般

      
作品  不思議だな。みんな急いで何をするんだろう。みん
          な何処へ行くんだろう。2000年以上の時間を見
          つめてきた私には不思議だね。

      
住所  千葉県
      
氏名  小林 聡子    一般

      
作品  聞こえる、聞こえる、稔りの音、満ちる水の音、勢
          いよく猛ける炎、天に昇って行く、人々の喜びの声!
          聞こえる、聞こえる、恵み深き神々の声!神々の声
          に応え、叫べ! 踊り祝い感謝とその喜びを! 神
          々に届けるのだ!

      住所  大阪府  
     
 氏名  田端 国光    一般
      
作品  二千数百年前の人たちが、はるかいまの私たちに、
          大きな声で叫んで伝えてくれています。"「地球と
          いう大自然と大地の恵みを、いつも忘れないで…」"
          そうです。すばらしい地球はみんなの宝物なのです。

      
住所  宮城県
      
氏名  中井 由利子   一般

      
作品  昔はもっと空が青かったよ。
          昔はもっとゆっくりと暮らしてたよ。
          昔はもっと動物と仲良かったよ。
          昔はもっと人と人とが思いやれたよ。
          昔はもっと………。
          言っても言っても尽きないなぁ。


     国内最古の(重り)出土
    
組織的「」存在か 画期的な史料(14.1.29)

           
                青銅製権(正面)
             
                青銅製権(側面)


 長崎県教委は1月22日、原の辻遺跡で、秤
はかりに使う青銅製の重り
けん」が出土したと発表しました。
 「権」は釣り鐘状で高さ4.3cm、幅3.49cm、厚さ2.85cm、重さ150g。
頂部に紐を通すための穴がわずかに残っており、下部には直径5ミリの穴
が貫通しています。
 平成11年(1999)7月21日、祭儀場跡とされる高台の集落中央部
の弥生時代後期〜古墳時代初期の遺跡包含層で発掘されました。
 青銅製で、成分構成は銅98%、鉛1.7%。鉛の比率が弥生時代後期の
広形銅矛銅鐸などと同じく、中国北部産とみられています。
 県教委によると、長さや重さをはかる「度量衡制」は、わが国では奈
良時代に整備され、その計測道具としての発見例は、福岡市の柏原
かしは
遺跡の石製「権」が最古でした。そのため、原の辻での「権」の出土
は、7世紀とされる度量衡整備より、さらに400年以上もさかのぼる
国内初の出土
となります。
 原の辻遺跡の高野晋司所長は、「
後漢時代の中国から持ち込まれ、交
易を円滑にするために使われたのではないか。原の辻に専門の監督官を
置く組織的な市が存在した可能性を示す、貴重な史料
」と話しておられ
ます。
 なお、秤には大きく分けて天秤
てんびんと棹秤さおばかりの二種類があり
ますが、この「権」はその形が釣鐘型であることから、棹秤に用いられ
た錘
おもりである可能性が考えられています。
 「権」の一般公開は2月2日〜24日まで、大阪府立弥生文化会館、
3月2日〜10日まで福岡県立美術館で開催の『国特別史跡記念 発掘
「倭人伝」−海の王都、壱岐・原の辻遺跡展』においてなされる予定で
す。壱岐の原の辻遺跡展示館での公開は、3月中旬頃の予定です。
        (『
新壱岐』新聞より)



  


     
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