郷ノ浦町発行の図書の転載・引用について、当局(渋村寛町長)より、許諾を得まし
た。(01.8.21) 
   

    山口麻太郎略歴

 明治24年8月27日黒崎里触にて出生。
 長崎通信伝習養成所卒業ね郷ノ浦郵便局、長崎郵便局に勤務し、次は
台湾総督府民政部通信局に入り任官したが、志を転じ、大正2年官を辞
して上京、市町村雑誌社に入る。
 夜間は自由講座に入学し文学を学ぶ。また日比谷図書館に通って郷土
に関する文献を写し取った。
 自由講座の講師三木露風の影響を受けて詩作の道に入った。
 露風の勧めで国数学館に転学した。やがて露風の詩社未来社が発足し
た。
 大正5年田園詩人を夢見て郷里に帰り、対馬商船の郷ノ浦代理店の支
配人となる。
 同志を集めて郷土研究会を作り、文学雑誌「耕人」の刊行等にあた
り、丘草平の号で詩を発表している。
 大正10年壱岐郡教育会主催夏季講習会において折口信夫の「民間伝
学」を聞き、柳田国男の民俗学を知り、早速、柳田国男に入門する。
 それから歴史学、考古学、民俗伝承学を加えた郷土研究に邁進する。
 大正11年代理店の支配人をやめて自営の商店を開業した。
 昭和8年郷土の先覚者、松永安左ヱ門からの経済的な援助を受けて私
設壱岐郷土研究所を開設し、郷土資料の収集、調査研究に専念した。
 しかし、太平洋戦争後は壱岐郷土研究所の経営が困難となった。収集
した資料の3000余点昭和42年長崎県立図書館と美術館に無償寄贈
した。
 主な著書には、「壱岐島の方言集」「壱岐島民俗誌」「壱岐島昔話集」
「百合若説経」「平戸藩法令規式集成」上・中・下巻。「日本の民俗長
崎県篇」「西海伝説」「壱岐国史」「壱岐国地名誌」「壱岐島明治文化
史」「山口麻太郎著作集」全三巻等。
 共著には「九州の衣と食」「九州の祝事」「式内社の研究西海道」等
がある。
 この他に論文約200編を発表している。
 昭和25年から32年武生水公民長兼図書館長、その後昭和46年ま
で壱岐日報社社長。
 なお、長崎県文化財専門委員、壱岐文化財調査委員会会長、郷ノ浦町
文化財調査委員長等を歴任した。
 また、壱岐史跡名勝天然記念物保護顕彰会を設立し、会長となる。
 郷土研究等に貢献し、昭和31年長崎県知事表彰、昭和37年長崎新
聞社から長崎文化章、昭和46年壱岐郡町村会長表彰、昭和49年西日
本新聞社の西日本文化章等を受け、昭和50年勲五等瑞宝章を受けた。
 昭和57年10月1日郷ノ浦町名誉町民第五号に選定された。
 日本民俗学会名誉会員。学問に対する姿勢は厳しく、どこまでも追い
求めて、郷土研究を進め、壱岐学の樹立を提唱した。
 昭和62年12月26日に没した。
(郷ノ浦町史より)

 
     
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